上半期総合1位「街とその不確かな壁」村上春樹氏

村上春樹の最新長編「街とその不確かな壁」=4月13日午前、東京都新宿区(松井英幸撮影)

出版取次大手の日本出版販売(日販)は1日付で、今年上半期(令和4年11月22日~5年5月20日)のベストセラーを発表した。総合1位は村上春樹さんの6年ぶりとなる長編小説「街とその不確かな壁」(新潮社)だった。出版元によると、今年4月の刊行で、累計発行部数は38万部。村上作品が日販調べの上半期総合1位となるのは、平成25年の「色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年」以来10年ぶりという。

「街とその不確かな壁」は同じく1日付で発表されたトーハン調べの上半期ベストセラーでも総合1位に輝いた。

近年は新型コロナウイルスの感染拡大や不安定な世界情勢を背景に、お金や老後の生活などに関連する本が人気を集めていた。日販は、「コロナ後」を見据えた動きが広がる中、そうした傾向が薄れつつあると指摘。その上で、娯楽作品や「知的好奇心を満たすことのできる作品に注目が集まる結果となった」と総括している。

日販調べの総合ランキングは以下の通り。

①街とその不確かな壁(新潮社)②ポケットモンスター スカーレット・バイオレット 公式ガイドブック 完全ストーリー攻略(オーバーラップ)③小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本(ダイヤモンド社)④汝、星のごとく(講談社)⑤変な絵(双葉社)⑥地獄の法(幸福の科学出版)⑦日本史を暴く(中央公論新社)⑧変な家(飛鳥新社)⑨バカと無知(新潮社)⑩安倍晋三 回顧録(中央公論新社)