
今年8月までに倒産したラーメン店の数が前年同期の3・5倍となり、年間最多ペースであることが東京商工リサーチの調査で分かった。新型コロナウイルス禍関連の支援事業終了に物価高が加わり、値上げに踏み切れないまま倒産に追い込まれるケースが多いとみられる。
調査によると、今年1~8月のラーメン店の倒産は28件で、前年同期の8件から急増。既に前年1年間の21件を上回り、過去15年間で最多だった平成25年の42件を超える可能性もあるという。内訳をみると、資本金1000万円未満の店が92・8%、従業員5人未満の店は89・2%で、規模の小さい店が圧倒的多数を占めている。
ラーメン店も他の外食産業と同様、コロナ禍による休業や時短営業の影響を受けたが、コロナ関連支援事業もあって倒産件数は令和3年は28件、4年は21件にとどまった。
しかし、雇用調整助成金が今年3月末で打ち切られるなど支援事業の縮小や終了が進行。さらにロシアのウクライナ侵略による小麦価格の高騰をはじめとした食材の値上がりや光熱費、人件費の上昇が、経営基盤の弱い店に追い打ちをかけたとみられる。
東商リサーチの担当者は「高価格帯で勝負でき、インバウンド需要にも対応して売り上げを伸ばした店と、価格転嫁できずに苦境に立たされる店の二極化が進んでいる」と指摘。今後も適正な値上げができない場合は、廃業に追い込まれる店が増えていく可能性もあるとしている。
最低賃金引き上げ 小規模飲食店など負担増