
需要以上に太陽光や風力など再生可能エネルギーによる電気が発電されて、大手電力会社が受け入れを一時的に止める「出力制御」が、今秋も行われる。地球温暖化対策として国を挙げて再エネ導入が進められている中で、再エネを使い切れずムダにしている格好だ。出力制御を低減する策の一つとして注目を集めているのが系統用蓄電池。送電線に大型の蓄電池をつないで蓄電・放電するシステムで、大手総合商社が相次ぎ事業に参入。ムダを低減できるとして期待は高まるが、コスト削減などの課題も多い。
電気は、需給バランスが崩れると電気の品質(周波数)が乱れてシステムがダウンし、大停電が起こる恐れがある。このため、消費量(需要)と発電する量(供給)が同じ時に同じ量になる「同時同量」でなければならない。発電量が需要を上回った場合、出力制御は火力、揚水発電から始まり、他の地域への送電、バイオマスの制御と順番が決まっている。それでも電気が余る場合に再エネの出力が制御される。
冷暖房の需要が減る春や秋に出力制御が行われることが多く、平成30年10月に九州電力が離島以外で初めて実施した。太陽光発電の拡大に伴い令和4年に東北、中国、四国、北海道、5年に入ってからは沖縄、中部、北陸、関西の各電力でも出力制御が行われている。