メディカルクオール社長・奥村滋子さん(61) 「医療機関誌」も発行 背中で鼓舞

メディカルクオールの奥村滋子社長=東京都中央区(佐藤克史撮影)

親会社は全国に展開する「クオール薬局」の運営で知られる。そのグループの一員として、東京都内で医薬情報誌などの企画から制作、出版まで幅広く手掛けている。中でも必要情報が詰まったポケットサイズの「薬剤師手帳」は多くの薬剤師が持つ。

前職の大手製薬会社では初の女性支店長に抜擢(ばってき)されるなど、製薬業界での女性活躍の象徴だった。悔しい思いをすることも少なくなかったというが、持ち前のタフさで乗り越えてきた。昔から周囲は「職場で一番元気な存在」と話す。そんな人柄を知る前任社長に請われ、2年前にトップに就いた。「女性リーダーの道をつくりたい」との思いもあって引き受けた。

今は取引先の幅を広げるため、社内改革に全力を挙げる。製薬会社向けが中心の営業体制を生まれ変わらせようと、「Reborn(リボーン)」と銘打ち、自ら改革の先頭に立つ。

社外では、心不全の予防啓発を目的に設立された日本循環器協会に、医師と患者らをつなぐ機関誌の発行を提案。昨春に健康情報マガジン「COCORO(ココロ)」として病院などに配布された。制作を委託され、自ら編集長も担った。「出過ぎかもしれないけれど、背中を見せていくしかない」と50人ほどいる社員の奮起に期待を寄せる。

出身は滋賀県。名前は県名から一字もらった。実家は150年以上続く老舗薬局で、今も92歳の母と薬剤師の姉が店を守る。自身も薬剤師の免許を持つ。「生涯、医療に関わる仕事をしていく」決意だ。(佐藤克史)