
エアコンの室外機に制御機器を取り付けるだけで、使用電力量を削減でき、二酸化炭素(CO2)の排出を抑えられるサービスの導入が広がっている。取り付けた制御機器が30分おきに3~5分程度、冷房や暖房の運転を送風に切り替えることで、年間の使用電力量を5~25%削減、その分の電気代も節約できる。
サービスを展開しているのはエレトク(東京都港区)。病院や介護施設、倉庫などエアコンを24時間使用する施設を中心に、オフィス、工場などにも採用が広がり、契約件数は4千件を超える。電気料金の高止まりも続き、導入を検討する企業も増えており、「2~3カ月ほど工事を待ってもらっている」(間部恵造社長)状況だ。
エレトクのサービスは、使用電力量が多い冷房や暖房の運転を、自動制御によって30分おきに送風に切り替える。送風時には室温が大きく変化しそうだが、「3分程度であれば、室温の変化はほとんどない。室温変化が大きくなる前に(冷暖房の運転を)再起動するので、快適性を損なわずに節電できる」(長尾真一取締役)という。
サービス導入企業にとってメリットが大きいのは、初期費用が一切必要ないことだ。制御機器代、工事費用などをエレトクが負担。代わりにエレトクが受け取るのは、サービス導入によって削減できた電気代の70%だ。例えば年間100万円削減できた場合、導入企業は70万円をエレトクに支払うが、30万円を節約できることになる。
エレトクは導入企業に対し、導入後のCO2削減量や節電額が一目で分かる「省エネルギー活動報告書」を毎月作成し、提供している。報告書を活用して投資家向け広報活動(IR)に活用する企業も増えているという。(高橋俊一)