
【ワシントン=坂本一之】米国の中央銀行に当たる連邦準備制度理事会(FRB)は19、20の両日に金融政策を協議する連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、インフレ抑制に向け政策金利を据え置くか引き上げるかを議論する。市場では金利を据え置いて、実体経済におけるインフレ動向を見極めるとの見方が広がっている。FRBのパウエル議長は物価抑制に向けて高金利を維持する姿勢を示しており、今後の政策方針をどのように打ち出すかに注目が集まる。
FRBは歴史的なインフレに対応するため昨年から積極的な利上げを実施。7月に開かれた前回のFOMC会合で主要政策金利を0・25%引き上げて誘導目標を5・25~5・5%とし、金利は約22年ぶりの高水準となっている。
今回のFOMC会合に関して多くの市場関係者が据え置きを予測する一方、次の11月会合で追加利上げを見込む声も一部にある。
FRBは3カ月ごとに金利予測を示しており、前回(6月)の見通しで5・6%としていた2023年末の金利を、今回の会合で示す金利予測でどのように改定するかに注目が集まっている。前回の金利予測では、通常の0・25%幅で年内にあと1回利上げするシナリオとなっている。
FRBは「長期的な雇用最大化とインフレ2%」の達成を掲げていて、これまで経済に一定の悪影響が出てもインフレ対策を重視し金利を急ピッチで引き上げてきた。ただ、高金利水準となる中で追加利上げが「不必要な景気後退や新たな金融不安」を引き起こす懸念も出ている。
FRBが重視する経済指標を巡っては雇用は堅調な状況が続いている。消費者物価指数(CPI)は8月が前年同月比で3・7%上昇となり、伸び率が2カ月連続で拡大した。一方で、変動が激しいエネルギーと食品を除いたコア指数の上昇率は4・3%と2021年9月以来、1年11カ月ぶりの低水準となった。
今回のFOMC会合後に開かれるパウエル氏の記者会見では、現在のインフレ状況に対する認識も注視されることになる。