栗拾い始めました・9月18日

もうすぐ栗の季節だ。わが家にも3本の栗の木があり、毎年大きくて立派な実がたくさんなる。親戚、友人、知人に配る他、直売所へも持って行く。が、朝早く起きて拾う夫の体力も限界だ。

そこで「栗拾い始めました」の看板を立てることにした。「たった3本で」と言われたが、まずはやってみようと思う。

栗拾いといえば、遠い昔の思い出がよみがえる。昭和20年3月10日の大空襲で焼け出されたわが家は、群馬県の母の実家へ疎開した。

空き家だったその家に、わが家7人、母の妹一家7人、弟一家6人の3家族同居だった。

家の裏が栗林で実がなる頃は皆競って早起きして栗拾いに興じた。草むらの中に、朝露にぬれてにぶい光を放つ大きな実がポツンポツンと落ちている様は、今も忘れられない光景だ。

食糧難のまっただ中、拾った栗は少しは皆の空腹を満たせたのだろうか。

さて高齢者2人が思いつきで始めようとしているわが家の「栗拾いはじめました」は果たしてうまくいくのか。楽しみでもあり、ドキドキでもある。

倉持昌子(85) さいたま市岩槻区

「朝晴れエッセー」投稿500字で

「朝晴れエッセー」の投稿は600字程度でしたが、500字程度(改行によるスペースも含む)に変更します。